BPM: 140
街はずれの劇場の奥
並べられた人形達
かつての名声は翳るも
穏やかな愛を捧げる主人
端に置かれた不恰好な一人も
平等に大事にされていた
ある日彼らをみてはしゃぐ美しい孫娘
白い手で撫でられた彼は恋に落ちた
みんな眠る夜
オルゴール鳴り出したら
緞帳が開く
黒い翳の奥
踊るドール
愛は言わば望まれぬシナリオ
無いはずの鼓動は早く
甘い声待ち望む日々
縫い目は疼き綿は踊る
欲はさらなる欲を呼んだ
「その抱擁も賛辞も僕のもの」
「邪魔をするならその糸を切るぞ」
みんな眠る夜
オルゴール鳴り出したら
緞帳が開く
黒い翳の奥
踊るドール
愛は言わば望まれぬシナリオ
それは粗く小さい織地に
不釣り合いなほど大きく育ち
ついぞ糸無き手でハリボテの愛を説く
それが届かぬなら
人に成れぬのなら
同じ様に仕立て上げよう
それなら結ばれるはずでしょう?
やがて日が沈む頃には
変わり果てた「二つ」
恋と罰の行く先
人形は焼かれた
歪む熱と凍る
プロポーズ
「死」と「偽り」
幕間は短く
語る哀と恐怖
モノローグ
一人舞台
報われぬラストシーン
みんな眠る夜
オルゴール鳴り出したら
緞帳が開く
黒い翳の奥
踊るドール
愛は言わば望まれぬシナリオ
街はずれの劇場の奥
埃被るカビまみれの
瓦礫の下に今も眠る
忘れられた一つの話